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シロクマの粘土板

本拠地は「シロクマの屑籠」です。こちらは現時点では別館扱いです。

『シロクマの屑籠』が「お上品」になった理由というか、そういうの

 
 ネットの世界で「老害」として生きるということ - いつか電池がきれるまで
 
 リンク先の id:fujipon さんの記事を読んで、いろいろ考えた。というより釣られてしまった。
 
 ただし、fujiponさんが北極に向かって「シロクマ釣れろ、シロクマ釣れろ、シロクマ釣れろー!!」と一本釣りテレパシーを送ったとは考えにくいので、たぶん、私が勝手に釣られているだけである。それも良し、全力で釣られようじゃないか。
 
 私が釣られたのは、以下のフレーズだ。
 

 ネットで話題になったサイトが、広告を載せたり、IT関係の会社から「仕事」をもらったりすることによって、なんだかつまらなくなっていくのを、僕は少なからずみてきました。最初は「お金のためじゃなくて、自分がここにいることを知ってほしい」という思いではじめたサイトやブログでも、それが生きる糧になってしまうと、収入が失われることを怖れて、スポンサーに遠慮するようになってしまう。
あるいは「お上品」になってしまう。

http://fujipon.hatenablog.com/entry/2014/03/17/165638

 
 俺のことかーっ!!
 
 ここに書いてある文章は、まるきり心当たりがある。「お上品」になって「つまらなくなっている」とは、まさに俺のブログそのものじゃないか。いや「お下品なおもしろさ」をあまり書けなくなった、と言うべきか。
 
 私は素人ブロガーだ。そのことに、ひとかたならぬ思いを抱いている。食うために文章を打たなくても良いこと・カネのために顔色を窺った文章を書かなくても良いことを素晴らしいと思っているし、そのようなメディアを、パトロンなしに遊ばせてくれる奇跡を(株)はてなに感謝している。
 
 だから、上品下品に関係なく、火焔をまとうようなブログライフをやったっていいんだと思うし、私は実際、そのような炎熱ブログライフに後ろ髪をひかれているかもしれない。名誉あるドラゴン退治だけがブロガーの楽しみではないはずだ。触っただけでカルマが下がるようなスライムやウンコ野郎とも殴り合い、泥まみれクソまみれのブログライフ、そういう野良試合を楽しむことだって素人ブログライフに含まれていてしかるべきなのだ。
 
 でも、花伝社で『ロスジェネ心理学』本を出版したあたりから、そういう事は少しずつやりにくくなった。
 
 理由の一つは、自分の書いた本と矛盾した生き方をしたくないと思ったからだ。やがて不惑を迎えようとしている自分が、いつまでも中学生ブロガーのような戯れに興じているというのは、どうなのよ?という思いが、キーボードの手を留め、修辞を書き直させる。そういうヤンチャは2006~2010年頃に十分やったし、そろそろ、若いブロガーに任せておいたっていいはずなのだ。
 
 まあ、こんな私なので、若い人の自意識の閃きをみると心が躍るし、手をかざして温まりたくはなる。でも、自分から突進してむしゃぶりつくのは、そろそろ卒業しなければならないような気がするのですよ。
 
 100%大人なブロガーにはなれないとしても、70%、80%という風に、少しでもマシな年長者ブロガーになっていく道はあるはず――窮屈な発想かもしれない。だが、その窮屈さを受け入れることなしに、俺はエイジングの階段をのぼっていけるのか?という疑問に、少なくとも俺自身は体当たりしてみるべきだろう。『「若作りうつ」社会』などという本を書いている以上、ブログの分野でもなんらかの実践は試みたい。
 
 それと、もうひとつの(そしてメインの)理由。
 
 それは版元さんに迷惑をあまりかけたくない、という思いだ。今までは、自分のブログが大炎上してもまるきり自業自得で済んだ。けれども今、悪評を稼ぎまくってインターネットの賞金首みたいなブロガーになってしまったら、たぶん、なにかしら迷惑をかけてしまう。「必ず迷惑になる」と決まっているわけではないけれども、少なくともその可能性は高くなる。くだらないことで版元さんの販売戦略の足を引っ張るようでは、合わせる顔が無い。
 
 私はブログを素人として書いている。自由に書いているし、自由に書く権利もある。けれども版元にいる人達はそうではない。仕事として本の作成を手伝い、出版にまつわる諸々の手間暇を請け負い、本を売ろうとしている。そうである以上、いったん請け負ったミッションはきちんと遂行しなければならないし、ブログで阿呆なことをやらかして不用意に足を引っ張るようなことはしたくない。こちらは素人でも、あちらは仕事としてやっているのだから。そう意識すると、自分のブログとはいえ、破廉恥なことはやりづらい。
 
 いや、ブロガーである以上、そうした意識など持つことなく、四方八方disってdisってdisりまくるのも一手ではあるし、キャラの立ち方によっては、むしろ版元さんが炎上を望むことだってあるかもしれない。でも、私の場合はやめたほうがいいと思う。きっとうまくいかない。
 
 
【でも、自由に書けることの大切さが身に染みた】
 
 私は、「素人ブログの醍醐味を味わいたいなら、極力カネのことを考えないこと、アフィリエイトのようなものを意識しないこと」だと思ってブログを続けてきたし、それは全く正しかったと今も思っている。ところが今回、ちょっと違った角度から波及効果が及んで、ブログが少しだけ窮屈になってしまったわけだ。
 
 とはいうものの、これは書籍というかたちでミームを飛ばすための一種の対価だとも思うので、後悔するべきでもないし、対価にみあったものは十分すぎるほど頂いている。それと、こうした体験のおかげで、私は「自由に書けることの大切さ」を染み入るような思いで実感した。好きなように書いて、好きなようにアップロードして、それを常連さんが読んでくれるとは、なんとありがたいことだろう!
 
 素人ブログにしか無いメリットや徳目ってやつは間違いなくある。
 流行り廃りとは無関係に、私はそういうのを大切にしたいし、fujiponさんにおかれてもそれは同じだと思う。
 

シロクマ(熊代亨)の著書