シロクマの粘土板

本拠地は「シロクマの屑籠」です。こちらは現時点では別館扱いです。

はてな村的なものとアメブロ的なものが合わさった時、炎の虹が生まれる(2015)

 ★注:以下の文章は2015年頃に作られたとおぼしきものだ。その前提で読んでいただき、はてなブログ周辺の景色の変化と諸行無常に合掌していただきたい。
 
 
 最近、ぽつぽつ目に入るようになってきたように思うんですよ。
 
 はてなブログの一角で平和に暮らしていたブログが、何かのきっかけで注目を集め、ホットエントリに登録される。で、そのときに大量のはてなブックマーカーにあれこれの(大抵は否定的な)コメントが大量について、精神的に飽和状態になったり、すっかり嫌になってしまったり……といった事例が。
 
 はてなブログが開設されて数年経ちました。はてなブログはてなダイアリー以上に多種多彩なユーザーを含み、あまり目立たないはてなブログのなかにも様々なブロガーが存在しています。
 
 そうしたブログのなかには、はてな村的なもの、あるいははてなブックマーク上で連日のように繰り広げられている、“いわゆる”はてなブックマーク的なものとは無縁の日々を過ごしている“日記”や“考察”を綴ったものも少なくありません。他社のブログサービス、それこそアメブロ楽天ブログに行けば幾らでもありそうな、そういう長閑な光景も案外広がっています。
 
 しかしはてなブログとは、はてなブックマークを中核としたはてな村的なインターネットコロッセオに隣接した区画なのでした。ちょっとした繋がりによって、“リテラシーの高い”はてなブックマークユーザーの目に留まった時に、火の手があがってしまうことがあるのですよね。
 
 古いロールプレイングゲームのなかで、雨雲の杖と太陽の石が合わさった時に虹の橋がかかる、というイベントを観たことがありますが、現在はてなで見かける風景は、さながら、古参はてなブックマーカーと新参でアメブロっぽいはてなブログがあわさった時に炎の橋がかかる……といった趣があります。私としては、惹かれるような、いたたまれないような、なんともいえない気持ちで胸がいっぱいになります。
 
 PVやアフィリエイトの面で、はてなブログアメブロ楽天ブログより有利な場所かもしれませんが、ここは、はてな的インターネットコロッセオと隣り合わせの、殺伐とした土地、容赦の無い文化の土地なのでした。ほかのブログサービスからはてなブログに引っ越して来る人には、「はてなの門をくぐる者、一切の甘えを捨てよ」的な、注意を喚起しておいたほうが良いのかもしれません。それは冗談としても、はてなブックマークが網の目のように張り巡らされた、この独特なインターネット文化圏の面倒くさい部分には、気をつけておいてもらったほうがいいのだろうとは思うのです。
 
 こうしたインターネット文化圏の違いによるコンフリクトはもちろん今に始まったものではなく、はてなダイアリーが主力だった時代にもありましたし、2ちゃんねる等でもまま起こるものでした。とはいえ、2015年になってもその手のボタンの掛け違え、いや、引き千切りが起こってしまうのを目の当たりにすると、なんとも人間集団とは進歩しないものだなと思わずにはいられません。
 
 そういえば、先日完結したはてな村奇譚で、こんなフレーズが登場しました。
 

 はてなは今、大きく変わろうとしています
 上場を目指し、みんなが楽しめる安全で健全なサービスになろうとしています
 でもその時に失われるものもたくさんあります
 サービスを形作るのは結局それを利用する人たちです

http://orangestar.hatenadiary.jp/entry/2015/05/04/000000

 
 このフレーズを逆さ読みするなら、現在のはてな的インターネットコロッセオとは、みんなが楽しめるとは限らない、危険で不健全な場所なのかもしれません。そして、現今のはてなブックマーク上の“世論”をつくっている人達も、(株)はてな としては、ありがたいような、ありがたくないような、微妙な存在とうつっているのかもしれません。
 
 私もこのはてなダイアリーはてなブックマークを利用するようになって十年が経ち、そうしたはてな的インターネットコロッセオの是非を論じるには当事者過ぎるきらいがあります。だからその、外部の人との関わりのなかで旧来のインターネットコロッセオ的なものがどのようにまなざされ、評価されているのか、ちょっと耳を傾けたい今日この頃です。
 
 ★2018年から振り返ると、はてなブログの「サービスを形作るのは結局それを利用する人たち」も随分と移り変わりましたね。これから、はてなブログはてなブックマーク方面はどうなっちゃうんでしょうねえ。そういう「はてなブログの将来」を新年に語る人が、今年は私の観測範囲には現れませんでした。どこかでは盛り上がっていて欲しいと願います。
 
 

シロクマ(熊代亨)の著書