シロクマの粘土板

本拠地は「シロクマの屑籠」です。こちらは現時点では別館扱いです。

ぼくが考えたブルゴーニュのヴィンテージの雰囲気 2020年版

 
 独り言。
 
 2016年に、シロクマの粘土板で「ぼくが考えたブルゴーニュのヴィンテージの雰囲気」についてまとめたことがあった。あれから4年が経って、ブルゴーニュワインはますます値段が高くなり、ヴィンテージのみせる顔つきも、市場価格の推移も、自分の経験も変わった。そこで、後日の私にせせら笑ってもらうために、もう一度、ヴィンテージについて書いてみることにした。
 
 
 2001年以前について:その後もまとまった数を飲むには至らず。ただ、特級クラスは20年以上を経ても見事な姿をみせてくれることがあってさすがと思うことはあった。自分ではもう買わない領域。
 
 2002年:最近は2002年の高評価を聞かなくなった。市場でもあまり見かけないので買う機会もなし。4年前の段階で引き気味だったけど、当時以上に気にしなくなった。
 
 2003年:赤ワインは今買ってもまだいける。白も長命だった。2010年代前半の評価より、2010年代後半の評価のほうが高くなったように思う。積極的にはもう買わないけど、ボトルを見かけた時、2003年だったからといって回避しようとは思わない。
 
 2004年:当時から評価していなかったけど、その後飲んでみてもやっぱり冴えないと感じたので回避。売れ残りを市場でよく見かける。しかも値段のつけかたが安い。そういう点でも信用できない。
 
 2005年:大当たりヴィンテージとして名高い年。たまにしか見かけず、値段が高い。古くて高いので買わない&買えない。さすがにブルゴーニュ・ルージュなどの平格だと元気を失っていることがあるので、買う or 飲むなら高価格帯の赤ワインかな。
 
 2006年:この年のブルゴーニュで良い思いをしたことがなかったが、その後もだいたい裏切られた。自分じゃ買う気になれない。市場には在庫がまだまだあって、しかも値段が安くつけられているのでくわばらくわばらと思ったりする。個別のドメーヌに関してよほど情報を持っているか、信頼できるソムリエさんが出してくるかしない限りは回避。
 
 2007年:白ワインは2020年に近づいてもなお、見事な姿をみせてくれた。パーカーポイントではボロクソだけど、自分のなかでは00年代の白ワインのなかで一番信用している。赤ワインは酸っぱい感じだったので今買ったらもっと酸っぱいかも、と身構えている。
 
 2008年:よくわからない。とりあえず赤ワインは酸味のやけに強い年、というイメージがあって購入は控えてきた。お目当てのドメーヌ・畑のワインが2008年しか売って無かったら、たぶん買い控えると思う。一部、白ワインは傑作もあると耳にしたけど、どこのドメーヌなら安牌なのかわからないので買えない。
 
 2009年:赤ワインは、まだ底がみえない。我が家の2009年系はぜんぜん元気というか、飲み頃を迎えている気がせず、あと3年ほど待ってみたい。安めの一級やコンディションの悪い一級なら飲み頃かもしれない。平格の赤ワインのなかに、元気を失っているやつがいたので安すぎる品なら飲み頃を過ぎていることもあり得るかも。白ワインは2009年を飲む機会がその後なかったので不明。市場価格は全体的に高め。
 
 2010年:以前に比べて良ヴィンテージの声が高くなってきた&市場価格が上がってきた&モノが少なめになってきた。たまたま何本かストックしてあるけれども飲み頃がわからない。とりあえず、ワインに詳しい人は「まだだ、寝かせろ」と言っていた。ために、あまり参考記録がない。同じく良ヴィンテージとされる2009年に比べると、若いうちから親しみやすいつくりではなさそうで、飲み頃の判定が難しそう。中堅クラスをもう少し飲んでみる必要がある。
 
 2011年:当初、それなり飲めるヴィンテージだと思っていたけど早飲みヴィンテージの気配が出てきた。赤も白も、腰が据わっていると感じない品、浅薄な品に出会うことしきり。在庫はもう飲みきってしまった。市場価格は安め。買わないと思う。
 
 2012年:四年前の時点で今一つな感じだったけど、印象は変わらない。普通のヴィンテージ。市場価格が上がってくる気配のないヴィンテージでもある。今年のうちに飲んでしまいたいなら2020年現在、チャンスかも。
 
 2013年:かつて、高騰していた2013年のヴィンテージは2020年からみて評価されているようにはみえない。この年も普通のヴィンテージで長くもつようにはみえなかった。今年のうちに飲んでしまうならチャンスかも。
 
 2014年:不思議と縁のなかったヴィンテージ。白ワインが高評価と聞いたことはあるけど、そもそも、偵察用の平格の赤白の2014年ヴィンテージを買う機会が少なかった。ゆえに謎めいている。どうなんだろう。
 
 2015年:安いクラスのワインを飲んだ限り、この年はハズレが少なかったので割と多めにストックしてみた。高いクラスはまだ飲んでない。市場価格が上がってきているので、今となっては買うのはおっくう。手持ちをストックしておくつもり。
 
 2016年以降について:2016年はあまり飲んでないのでわからない。2017年の安いクラスは飲みやすかったので安いクラスなら安心……なのだがブルゴーニュワイン全般が高騰しているので昔ほど気楽に買えなくなってしまった。この、飲みやすいということが潜在力の豊かさなのか早飲みヴィンテージなのかちょっとわからない。
 
 とりあえず自分のブルゴーニュ観では、
 
 赤ワインで寝かせておきたいヴィンテージ or 期待度高いヴィンテージ:2003,2009,2010 で
 白ワインで寝かせておきたいヴィンテージ or 期待度高いヴィンテージ:2003,2007,2010 ということになる。2005,2015,2017も期待できるかもしれない。そのほかのヴィンテージは、早飲み用と割り切って買うか、ちょっと遠慮する可能性が高そう。
 
 一時期、自分のブルゴーニュワイン観は「ヴィンテージよりも作り手重視」だったけど、2018年ぐらいから再び「作り手よりもヴィンテージ重視」「というより良いヴィンテージにつくられた並みの作り手のワインを探す」に切り替わった。そりゃ、最高の作り手の最高のヴィンテージのワインをいつも買えれば苦労はしませんが……。
 
 ※個人の感想です。
 ※ちゃんとしたヴィンテージの傾向が知りたい人は、然るべき媒体か、然るべきグーグル検索か、とにかく、偉い人のやつを見てくださいね。

シロクマ(熊代亨)の著書