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シロクマの粘土板

本拠地は「シロクマの屑籠」です。こちらは現時点では別館扱いです。

【08】furukatsuさんと革命的非モテ同盟

 id:furukatsu
 全盛期:2007年~2008年
 危険度:全盛期においても少なめ
 
 最近、「00年代のはてな非モテ論壇は、案外、核心に近いところを突いていたんじゃないか」と思う機会が増えたので、非モテブロガーの活躍と顛末についても、何人か紹介していきたいと思う。
 
 過去を知らない人のために説明すると、twitterブームによってブログ界隈が失速する前の2005~2009年頃にかけて、はてな村周辺には「非モテ」を論じるブロガーが複数名存在していて、恋愛至上主義問題・脱オタvs非モテ・承認欲求周辺問題・非コミュ問題について、議論のようなキャッキャウフフのようなギョーカイゴッコのような、あーでもないこーでもないが繰り広げられていた。ちなみに私は「脱オタクファッション」側のウェブサイトを主催していた関係で、この非モテ論壇から仮想敵とみなされ、半ば強引に論争に巻き込まれたのだった*1
 
 非モテ論壇のなかには、理論や行動力の面で抜きんでたプレイヤーもいた。furukatsuさんは行動派で、「革命的非モテ同盟」を主催し、バレンタイン粉砕デモなどを行って注目を集めていく。2007年といえば、加藤が秋葉原で連続通り魔事件を起こした年である。TV版『電車男』から3年。秋葉原がくすんだオタクの街から、リア充的なフレーバーに変貌しつつあったあの頃に、furukatsuさんは秋葉原でデモを行った。時宜に適った活動だったと思うし、事実、マスメディアからも取材されたようだ。
 
 しかし、furukatsuさんは迂闊すぎる人物だった。革命的非モテ同盟の周辺には、揉め事やスキャンダルが絶えず、最終的に、furukatsuさんはネット上でのプレゼンスを保てなくなってゆく。ここここを観てもわかるように、言葉に思慮の足りない人物だった。あれじゃモテないのもしようがない。
 
 私はオフ会でfurukatsuさんと対面したことがあった。悪いひとではないと思ったが、素直すぎるというか、運動なんぞをやるには油断の多い、若すぎる人という印象は否めなかった。問題意識は立派だったけれども、それを理論と照らし合わせるための学識、実践に反映させていくためのレトリックは足りていないようだった。まあ、若いうえに、行動力にステータスを全部振ったっぽい人物だったから、それは望むべくもなかったのかもしれないけれども。
 
 そして、彼もまた「モテ」に飢えていた。あるいは承認をというべきか。いっぱしの人間として認められること、自分が評価されることに汲々としているオーラが全身から立ち上っていて、そのあたりに思考と行動を引っ張られている傾向が見受けられた。革靴集めの趣味と公用車のベンツも、彼のそうした“趣味”を反映していたように私は思う。要は、furukatsuさんは俗物だったのである――俗物であることはブロガーとして必ずしも悪いことではない。だが、彼の犯した失策の幾つかには、そうした俗物性に引っ張られている部分があったと思う。キャラの確立とマネジメントに問題があったというか。
 
 どんなにメディアの注目を浴びようとも、時代の流れに呼応した活動をしようとも、脇が甘ければ衰退を免れない――furukatsuさんは、そのことを教えてくれる。上昇志向に取り憑かれた若いブロガーのひとは、このfurukatsuさんの二の舞にならぬよう、反面教師にしておくのが良いと思う。
 
 ただ、繰り返すが、furukatsuさんも含めた往時の非モテブロガー達は、あの時期、とても重要な問題提起をしていたと思う。私は彼らに仮想敵とみなされ、ネチネチといじめられていたから当時気づかなかったけれど、変わりゆく社会の核心に近いところを掬い取りかけていたのではないか――最近はそう思う。だから私は、furukatsuさんや、いずれここで紹介するであろう他の非モテブロガー達の骨を拾い集めて祠を建てたいと思う。非モテ論壇は滅んだ。だからといって、彼らが槍玉にあげたようなコミュニケーションと心理学的充当を巡る構図が改善したかというと、そうではない。むしろ当時よりも徹底すらしている。
 
 もっとfurukatsuさんを滑稽に紹介しようと思っていたが、神妙な気持ちになってきたのでこのままアップロードする。宿題はまだ、そこに残っている。
 
 【関連】:2006-12-10 - matakimika@d.hatena
 【関連】:kanoseさん所の二次会と三次会 - シロクマの屑籠
 
 
 ※この記事は右のテンプレに則って記載されています北極から観たはてな村人物評・テンプレートおよびお約束 - シロクマの更地

*1:まあ、そのお陰ではてな村に定着できたようなものなので、今は感謝しているが

シロクマ(熊代亨)の著書