シロクマの粘土板

本拠地は「シロクマの屑籠」です。こちらは現時点では別館扱いです。

悪口の誤配――たぶん、まつたけさんは不用意に敵をつくるタイプだと思った

 
 先日、まつたけさんのブログが随分荒れていたことについて。 
 
 キノコがヘイトブコメにまみれている理由 - meerkat00の日記
 
 問題点の過半は、上記リンク先に書いてあるとおりだと思う。
 
 オーディエンスの評価が悪化しそうな振る舞いを、まつたけさんは短期間に繰り返した。だからブログの可燃性が高くなっていた。そのことを、まつたけさんがどれぐらい自覚していたのかはわからない。わからないけれど、もし、これからもそうしたブログの可燃性やカルマ値*1の問題を意識しないままブログ運営を続けるとしたら、ストレスフルな割には報われないだろう。
 
 それと、本件は不特定多数のはてなブロガーやはてなブックマーカーを不用意に敵に回すようなレトリックがあったように思えたので、以下、補足してみたい。
 
 
 ブログをやめることにした - まつたけのブログ
 
 まず、この記事は、「ブログ閉鎖騒動」という、ブロガーとして風聞を悪化させやすい危険手となっているが、くわえて、誰のことを指しているのか不明瞭な悪口が書き連ねられている。ちなみにこのとき私は、「ブログ閉鎖騒動」記事でまつたけさんへの印象値が-20ポイント低下したのに加えて、「俺が悪口の対象になっているかもしれない、でも断定は難しいし可能性は低い。それでも俺のことのように読めてしまうし感情的には弁護する気が少し減ったから、印象値はもう-10かな。」と感じたうえで、はてなブックマークに対して「読みました。」とだけブックマークした。
 
 この記事を読むまでは、まつたけさんに対する私の印象値は±0ぐらい、好きでもないけれど嫌いでもない、ぐらいのものだった。好みの文章を書く人ではないけれど、最近はてなブログをスタートした人のなかでは頑張っているし、ときに響く文章を書くこともあるな、ぐらいに思っていた。だから、対まつたけさんの印象値-30は、初めての出来事だった。
 
 それから一週間後。まつたけさんがブログに帰ってきた。一週間で帰還したこと自体は、格好悪いかもしれないが、印象値を大きく下げるほどのものでもあるまい……と思いながら読み進めていくと、大変攻撃的なものだった。
 
 ブログ始めまつたけ!!!!(ノ)`ω'(ヾ) - まつたけのブログ
 
 上記リンク先がそれだが、広範囲の人が悪しざまに罵られている。
 
 曰く。
 
 はてなブロガーはみんなクソ。
 ・「急に優しいことをほざきはじめた奴ら」も批判されていた。
 ・“「なにが「僕はまつたけさんとからむことはなかったし、いつも読んでいるわけじゃなかったけど、面白いことを書かれる方だなと思っていた」だよ。からめよ!そしていつも読めよ!」”とも書いてある。
 
 これらの記事を読みながら、私は自分が罵られているわけではないと思うべく努力してみたが、感情的には「俺みたいなブロガーをまつたけさんは嫌っているのではないか」という印象が強まってしまった。なぜなら、上記3つすべてに私は該当するからである。刺さる!刺さる!グサグサ刺さるぞー! 私の読後感は最悪で、はてなブックマークに「俺のことかー!北極に宣戦布告しやがったな!!」と書くのを我慢するために努力を必要とした。これで印象値は-20。
 
 しかも、まだ終わらなかった。
 
クソみたいなはてなブロガーについて - まつたけのブログ
悪口を言われないためにはどうすればいいのか? - まつたけのブログ
 
 ゴミクソはてなブロガー。文章冒頭にあるように、たぶん特定の数人程度を意識して書かれた文章なのだろう。もちろんまつたけさんは、ブロガー同士の平和を愛しておられるに違いあるまいから。そう意識しながら読み始めたが、なんというか……尋常ではない悪意だった。カス、ゴミ。ぼろくそである。どうやら私への個人攻撃ではないらしい事は理解できたが、なにしろ誰のことを書いているか分からない悪口なので、「はてなブロガー」とか「おっさん」といった該当属性をみかけるたびに、私は自分のことか否かを判定しなければならず、骨が折れた。名指しの記事だったら、こんな事にはならないのだが……。印象値は、また下がって-80ぐらいになった。
 
 
 
 【誰のことか分からない罵詈雑言は、誰に届くかわからない】
 
 この件について、id:hagexさんは
 
 喧嘩を売るときは正々堂々とやろう - Hagex-day info
 
 カッコ悪いという指摘をしている。まあ、カッコ良いか否かはブロガーの外観に影響を与える一要素なので、それも大切なことではある。ただそれだけではなく、本件後半は、「誰に刺さるか分からない罵詈雑言をまき散らす」という、きわめて敵を作りやすい状況をつくってしまっていたのではないか、とも思う。少なくとも、私のまつたけさんに対する印象値は-80ぐらいまで下がった。当面は、あのブログを閲覧するのはよしておいて冷却期間をもうけるつもりである。そうしなければ、まつたけさんの執着を探して噛みついてしまいそうだ。
 
 もちろん、平和なブログライフを愛してやまないまつたけさんのことだから、私の敵意を煽る意図など無かったはずである。頭では、そう理解している。それでもなお、ブログ復帰以降の悪口オンパレードを見て悪印象を免れなかった私自身を思い返すにつけても、印象値-80とまではいかなくとも、-20や-30ぐらい悪印象を持ったブロガーは結構いたんじゃないかと推定する。あんなに毒胞子をまき散らさなくても良かったのに……。
 
 「意図せぬ相手に罵詈雑言を届けてしまう」行為は、ブログに限らず、社会適応上もきわめて危険なことだ。オフラインの世界でも、こういう「誰の悪口とも解釈できないこともない悪口」を平然と口の端から漏れさせて憚らない人は、人心を失いやすく、潜在的な敵をつくりやすい。はじめ好意的だった人間もだんだん遠ざかっていくし、中立的であろうとしていた第三者の心象も悪くなっていく。今回の「ブログやめます宣言」で好意的な反応を返してくれた人のなかにも、その後の悪口の奔流を眺めていて、心変わりした人がきっといたと思う。少なくとも、私は「中立」から「あまり褒められない人物」まで印象が変わった。
 
 本件は、「宛名の無い悪口の誤配」という問題を理解する恰好のサンプルとなっている。ブログをやっていくにあたって――いや、世渡りをやっていくにあたって――記憶にとどめて戒めていきたい案件だったので、まとめてみた。まつたけさんにおいては、「宛名の無い悪口」をまき散らすのをおやめになって欲しいと願う。私のように、誤配によってまき散らされた悪口の毒胞子を吸い込んで咳き込む人間が、また現れないとも限らないから。
 
 
 【そもそも、汚い言葉をまき散らすのは「危ない」】
 
 そもそも、罵詈雑言を他人に向かって吐いて憚らないということ自体、きわめてリスクの大きな、カルマの悪くなりやすい行為と戒めるべきなのだろう。宛先をはっきりさせた罵詈雑言でさえ、別の誰かに刺さることもある。だから角を立たせずに罵詈雑言を吐くのは難しい――みんなに嫌われる悪役ブロガーになりたかったり、腐った豚野郎ブロガーと後ろ指を指されたいのなら話は別だが。くわえて、世の中には自意識の当たり判定の大きな人間が、例えば、この私のように存在してもいる。
 
 毒舌は、吐くぶんには心地良いものかもしれない。でも、ほんの少し扱い方を間違えると、つくらなくても良い敵をつくり、揉めなくても良いことまで揉めやすくなってしまう、可燃性の高いボキャブラリーだ。最良の毒舌使いでさえ、毒を吐かない人には(社会適応上)劣るのではないか、とさえ思う。控え目に言っても、ビールを飲むようにたやすく悪口をまき散らすのはやめたほうがいい。人生の残機がいくつあっても足りない。
 
 [関連]:『はてな村オンライン』の遊び方
 

*1:あるいはbadboyrate

シロクマ(熊代亨)の著書