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シロクマの粘土板

本拠地は「シロクマの屑籠」です。こちらは現時点では別館扱いです。

【07】fromdusktildawnさん

 id:fromdusktildawn
 全盛期:~2009年頃
 危険度:現在は低め(追記:全盛期はいつ飛びかかってくるか分からない危険な相手だった)
 
 私の観測範囲に基づく主観を言わせてもらうと、fromdusktildawnさんの『分裂勘違い君劇場』は、はてな村に大きな影響を与えただけでなく、案外、日本語ブログ界隈全体にも影響があったんじゃないかという気がする。
 
 私の記憶が間違っていないなら、fromdusktildawnさんは、ちきりんさんやハックルベリーこと岩崎夏海さんに先んじて、『分裂勘違い君劇場』を繁盛させていたと思う。釣り針で重武装し、ツッコミどころを含んだ文章をアップロードし、大量のブックマークとアクセスを稼ぐ……こういった“やりかた”をはてなダイアリー上で確立させたのは、なんといってもfromdusktildawnさんだった。少し遅れるかたちで、ちきりんさんやハックルベリーさんが似たような(ただし全くイコールではない。後述)ブログを発進させていた、と私は記憶している。タイムテーブルから推測するに、彼らを含めた釣りPV重視型ブロガー達が、『分裂勘違い君劇場』を参照しなかったとは思えない。
 
 それと、有料メルマガ的なもの、ブログのマネタイズという意味でも、fromdusktildawnさんは一歩先を行っていた、と思う。ブロマガやcakesに先立つこと1~2年、投げ銭可能なサイトに引っ越して記事のマネタイズを試みていらっしゃった。少なくとも表面的には、この試みは失敗に終わったようにみえ、その後、fromdusktildawnさんのブログ記事はネットで見かけなくなっていったが。
 
 こうした諸々を思い返す時、fromdusktildawnさんの試みは、どれもこれもブロゴスフィアの流行よりも一年~二年程度早かったのだなぁ、と詠嘆せずにいられない。たいした御仁だ。ただ、一般受けするということ、マネタイズすることに関しては、「万事、早すぎた」のかもしれない。尤も、御本人にとって、こうした顛末が失敗なのか、私の知らない方面での成功の種なのかは、わからない。こうした諸々のノウハウを、何処かで何かに使っているという可能性も否定できないからだ。さしあたりこの場では、fromdusktildawnさんのブログ大戦略の先進性を讃えよう。
 
 「『分裂勘違い君劇場』というと釣り記事」というイメージに反して、fromdusktildawnさんは案外長文家で、細かな解説を怠らず、それなり考証を提示しておこうという気配りがあったと思う。このあたりは、読みやすさを優先して短い文章にまとめるちきりんさんとは方向性が違うし、岩崎さんに比べるとサイエンティフィックな方面に強かった。そういう意味で「古き良きブロゴスフィア」の残滓は『分裂勘違い君劇場』にこそ残っていた。
 
 また、fromdusktildawnさんは案外コミュニケーションが活発で、はてなブックマーク、ブログのコメント欄、トラックバックなどを介してはてな村の多くのアカウントと活発なやりとりを行っていた。このあたりも、ちきりんさんやハックルベリーさん、ひいては昨今のPV稼ぎ重視なブロガー達とは微妙に違っているというか、00年代のブロガーらしい身振りだったと思う。はてな村で最大級のキャンプファイヤーとなった「はしごたん騒動」でも、私の記憶違いでなければ、言及盆踊り大会の輪のなかに彼の姿を認めたと思う。案外、はてな村に密着したブログライフを過ごしていらっしゃった。
 
 私も、6年~7年前は、ことあるごとにfromdusktildawnさんの執着探しをしては喜んでトラックバックを送っていた。そんな不躾な私にも、彼は案外ちゃんと応えてくれて、色々な議論を――あるいは腹の探り合いを――交わしたと記憶している。他にも、非モテブロガーと会話したり、ブックマーカー相手に一問一答したり……とにかくはてな村的なブロガーとの交流を欠かさないひとだった。彼にとって、そうした交流がどのような意味を持っていたのかは知らないが、私はそういった交流を懐かく覚えているし、その足跡ははてな村の歴史に刻まれている。
 
 fromdusktildawnさんは殆どブログを書かなくなったが、今でもはてなブックマークは動いているし、twitterでも少数ながら書き込みがみられる。ブログに戻ってくる可能性は目下低そうだが、とにかくもネット上で姿を見かけるのは嬉しいことだ。また何処かで健筆を奮って欲しい、と思う。
 
 
 ※この記事は右のテンプレに則って記載されています北極から観たはてな村人物評・テンプレートおよびお約束 - シロクマの更地

シロクマ(熊代亨)の著書