シロクマの粘土板

本拠地は「シロクマの屑籠」です。こちらは現時点では別館扱いです。

東畑開人『平成のありふれた心理療法 社会論的転回序説』より

【平成のありふれた心理療法冒頭パート
 
「深いところでつながる」「耳を傾ける」「寄り添う」「抱える」「関係を作る」。これらは平成の臨床心理士養成大学院で頻出した常套句である。このような常套句によって治療方針が立てられ、そして「一緒に考えていきましょう」というキラーワードで治療の今後が約束される(上田,2020)。そのような心理療法のことを「平成のありふれた心理療法(以下、HAP*1と省略する)」と呼ぼう。私自身そこで育ち、そしてそこから離れていったわけだが、このHAPがいったい何であったのかを明らかにするのが本論の目的である。
 

*1:"Heisei no Arifureta Psychotherapy"の頭文字をとったものであり、ワーディングとしてはほぼジョークである。そしてジョークで十分なのである。なぜなら、この概念はこの論文の終わりには姿を消すからだ

シロクマ(熊代亨)の著書